全米オープンもいよいよ大詰め、今日は女子シングルスの決勝戦。
グランドスラムの決勝進出は初めての大坂選手が、現役最多23回のグランドスラム優勝記録を持つセリーナ・ウィリアムズ選手と対戦。
試合は淡々としたペースで始まり、序盤はどちらかというと大坂選手が押され気味に感じた。しかし、大坂選手が左右に振って粘っているうちに、ウィリアムズ選手のショットから正確さが徐々に失われ、第1セットの第3ゲームをダブルフォルトでブレーク。
この辺りから、見るからにウィリアムズ選手が落ち着きを失ってきて、大坂選手は第5ゲームもブレーク。5ゲーム連取してゲームカウントを5-1とした。そのままお互いキープして、第1セットを先取。
第2セットに入ってセリーナ・ウィリアムズ選手が第4ゲームをブレークして3-1となり、このセット盛り返すかと思われるが、表情や仕草からは落ち着きを取り戻した感じはしない。
ショットが思うように決まらずイラついているところに、コーチングのコードバイオレーションを取られてしまう。ちょうどネットプレイに持ち込んで巧みにポイントを取ったところで、コーチの紛らわしいジェスチャーが画面にバッチリ映ってしまったのだ。コーチングは、選手の行為や主観とは無関係に選手に与えられるバイオレーションだが、ウィリアムズ選手はこれでヒートアップしてしまう。
今度は第5ゲームを大坂選手がブレークすると、ミスでブレークされたウィリアムズ選手はラケットを叩きつけて壊してしまう。これが2回目のコードバイオレーションとなり、大坂選手にポイントが与えられ、このセットを難なくキープする。
ウィリアムズ選手は審判への不満が収まらず、コーチングの件を蒸し返し出す。第7ゲームを大坂選手がブレークし、4-3となったところで審判に詰め寄り暴言を吐き、3回目のコードバイオレーション を取られ、ゲームカウントは5-3に。騒然とした中での第9ゲームはストレートであっさりセリーナ・ウィリアムズ選手がキープし、5-4で第10ゲームへ。30-15からのサーブは綺麗なエースとなって優勝に一歩近づき、最後もサーブで優勝を決めた。
大坂選手の戦い振りは立派だった。
準決勝でもダブルフォルトにならないように気をつけたと言っていたが、サーブが正確で、特にファーストサービスがしっかり入っていた。中盤でネットに引っ掛ける場面が少しあったが、1本1本のショットを確実に返し前後左右にも素早く動いていた。
技術面はもちろんだが、メンタル面で圧倒していたことは素晴らしい。決まってもいい気になって突っ込んでいかず、決められても切り替えて引きずらず。相手がヒートアップしても冷静さを失わず。
闘争心を前面に出すのも一つのやり方だろうが、表情を変えずに淡々としかし確実にプレーをしていく姿は逆に恐ろしい印象を与えるのではないか。
対するセリーナ選手の立ち居振る舞いは極めて残念だった。あれだけの経験と実績がある選手があのような行動を取ってしまうのは、大坂選手が圧倒していた証だろう。過去にも大一番でのコードバイオレーションがあるので、劣勢になるとメンタル面での問題が出てしまうのかもしれない。そして、セリーナ選手に加えて観客も残念だった。
後味が悪いなどと書かれているようだが、大坂選手の勝利は立派なものだった。今回の優勝を祝うとともに、今後のますますの活躍を祈っている。
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