チャーリーチケットとチャーリーカードはどう違うの?(ボストンここが分かりにくい)

ボストン観光には地下鉄が便利だけど分かりにくい点もある

ボストンは狭い道や一方通行も多く、車で回るには適しているとは言えません。街のサイズや主要な観光スポットの位置を考えると、訪れる人の多くは公共交通機関を使うこととなり、地下鉄路線網も比較的充実しています。ボストン市内の公共交通機関は料金も均一制ですし概して分かりやすいのですが、それでもいくつか頭を悩ませる点があります。その1つが、チャーリーカードとチャーリーチケットという、似たような名前の乗車券があることです。

チャーリーカードとチャーリーチケット

運賃の支払い方法には、チャーリーカードとチャーリーチケットの2種類があり、どちらかがないと改札を通ることはできません。改札を通らずに直接乗る場合、つまりバスや地上区間でグリーンラインに乗る場合には現金で支払うこともできますが、お釣りが生じる場合にはチャーリーチケットで渡されることになっています。

チャーリーカードとチャーリーチケットの違いは何か

一見して分かる違いは、カードがプラスチックでチケットが紙だということですが、共通点と違う点を整理してみましょう。

プラスチックのICカードがチャーリーカードで紙製の磁気カードがチャーリーチケット。どちらもデポジット不要でチャージして繰り返し使える。

 

チャーリーカードとチャーリーチケットの共通点

  • 地下鉄とバスに乗れる
  • 使い捨てではなく、チャージして使い続けることができる(どちらも未使用残高の払い戻しはできない)
  • パス(1日・7日)を載せることができる
  • 店での買い物などには使えない

チャーリーカードとチャーリーチケットの違う点

○チャーリーカードは運賃が割引される(地下鉄はカード2.25ドル、チケット2.75ドル、バスはカード1.7ドル、チケット2ドル)とカードだとかなり安い。ただし、パス(1日・7日)は同額。

○ パスの起算点が微妙に異なり、チャーリーカードに載せたパスは、支払った後に初めてタッチ(改札通過)してから24時間有効となるが、チャーリーチケットに載せたパスは支払い時点から24時間有効となる。

○  チャーリーカードは乗継割引の範囲が広い(カードであれば2時間以内の地下鉄とバスの乗り継ぎは地下鉄の運賃だけで済むが、チケットの場合は割引にならない、他にも細かい違いあり)

● チャーリーチケットの方が使える交通機関の範囲が広い(コミューターレールとフェリーはチャーリーチケットしか使えない)その結果、同額で載せることのできるパスも、コミューターレールとフェリーの市内区間はチャーリーチケットに搭載したパスであれば使えることになっている。

● チャーリーチケットの方が入手しやすい(チャーリーチケットは全ての駅の自動券売機で入手することができるが、チャーリーカードは主要駅の窓口か街中の提携コンビニエンスストア等のみで入手可能)。なお、どちらもデポジットは不要。

△ チャーリーカードにはイラストが入っていて記念になる

△ チャリーカードはオンラインで管理可能。積み増しや複数カードの残高をまとめることもできる。

なぜカードとチケットが併存しているのか

チャーリーカードとチャーリーチケットはそれぞれにメリットとデメリットがあるが、なぜ併存しているのでしょうか。チャーリーカードの方が、プラスチックで丈夫だしアカウントを作って残高管理やチャージもできて、しかも運賃も安いとなると、なぜカードに一本化しないのだろうかと不思議に思います。
逆に、チャーリーチケットがなぜチャーリーチケットが残っているのかと考えてみると、ヒントは利用可能な交通機関にありそうです。チャーリーカードはコミューターレールとフェリーに使えないからチケットが残っている、というだけでは理由が分からないのですが、この2つの交通機関は運賃が均一ではありません。

コミューターレールの支払い方を調べたところ、乗車後に車掌がチケットを確認して席の前にシールを貼るということになっています。紙のチケットの場合は事前に券売機で購入した際に印字されるので確認できますが、チャーリーカードを持って乗り込んできただけでは確認できないということなのでしょう。

公式サイトの乗り方のところでは、区間を特定して券売機やブースで購入された乗車券のことをチケットと言っているようなのですが、区間を特定したチケットを購入していない状態で残高が残っているだけのチャーリーチケットも「チケット」に見えるところが分かりにくさの原因だと思います。支払い手段にとどまっているチャーリーチケットと、乗車に使える状態になっているチャーリーチケットがあるということなのでしょう。

降りるときにもカードをタップして、そこで運賃を計算して引き去るようにすればチャーリーカードがコミューターレールでも使えるようになるのでしょうが、相当の設備投資が必要と思われます。それ以前に、郊外の駅では改札がないので降りるときにタップするという仕組みが成り立たないのでしょう。距離制運賃にしたいが乗客数を考えると設備投資は最低限にしたいというバランスをとっているのが現在の仕組みなのだと思います。

販売窓口の問題については、自動券売機でプラスチックカードも発売できるようにすれば良いのでしょうが、それには機械の取り替えが必要で費用がかかるということなのではないかと思います(チャーリーカードへのチャージは自動券売機でもできますが、この場合は機械にくっついているリーダーにタップするだけなので、機械の中にプラスチックカードを出し入れすることはありません)。

コミューターレールについては、アプリベースのMチケットというものも導入されていますが、結局のところ車内でアプリを起動して車掌に見せないといけないという仕組みになっています。

結局どっちがいいの

ボストンで地下鉄やバスに乗るには、チャーリーカードかチャーリーチケットが必要で、それぞれにメリットとデメリットがあるということは分かりました。それでは、結局どちらを使えばいいのでしょうか。

公式サイトを見ると、使い分けが記載されています。それによると、チャーリーカードはバスや地下鉄に頻繁に乗る人にお勧めで、チャーリーチケットは訪問者にお勧めということになっています。

となると、ボストンを訪れる旅行者はチャーリーチケットを使った方が良さそうです、運賃の点は、パスを乗せてしまえば同じなので、パスを買って残高の心配なく短い区間でも地下鉄を使って効率的に観光して下さい、ということなのでしょう。

チャーリーチケットは、空港で荷物が出てくるターンテーブルのそばにある券売機ですぐに購入可能です。ここで買い忘れても、無料シャトルでブルーラインのエアポート駅に行けば手に入ります。逆にチャーリーカードは空港やブルーラインのエアポート駅では基本的に手に入りません。

旅行者向けにはチャーリーチケットが勧められているようだけど、割引がないのか・・

 

できればチャーリーカードを手に入れたい

しかし、旅行者であってもできればチャーリーカードを手に入れた方がいいでしょう。特に滞在が短期間の場合はなおさらです。ボストンの街はコンパクトなので、そんなに何回も地下鉄に乗る必要はないかもしれません。チャーリーカードのチャージは金額が選べますし、デフォルトで4回分(2往復分)の9ドルが表示されます。24時間パスを利用しても帰りに空港やサウスステーションに向かうときには別途1回料金を支払う必要が出てくるかもしれません。チャーリーカードを保管しておけば、次にボストンに来たときにまた使えます。

そうは言っても、チャーリーカードを入手するのは容易ではありません。空港から近い販売取扱店を検索すると、一番近くても1.1マイル離れています。駅での入手となると無料で利用できるシルバーラインでサウスステーションまで行けば入手できますが、サウスステーションの窓口営業時間は土日であれば朝7時から午後7時までですが、平日は朝7時から午後3時までとなっています。また、サウスステーションからはレッドラインを利用することになりますが、行先によっては乗り換えが面倒です。

チャーリーカードは空港では入手できないので、無料のシルバーラインでサウスステーションへ。平日は窓口が早く閉まるので注意、係員に聞くとその場で渡してくれることもあるらしい。

設備投資にかかるコストや死蔵されるリスクを考えてチャーリーカードの普及に力が入らないのかもしれませんが、せっかくICカードを導入しているのに、あえて使いにくくしているようで残念です。せめて空港では入手できるようになれば良いと思います。
数年前に日本からエアとホテルに空港送迎のみがついたツアーを利用したことがあります。このツアーでは、空港から宿泊先のホテルに向かう車の中で10ドルチャージ済みのチャーリーカードが配られました。その時は気づかなかったのですが、今にして思うとこれはかなり良く考えられたサービスだと思います。そのときにもらったチャーリーカードは今でも積み増して使っています。

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